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相続した不動産の売却時税金は何が必要?ポイントや注意点もまとめて解説

嶺山 友紀

筆者 嶺山 友紀

不動産キャリア15年

「相続した不動産を売却したいが、どのような税金が発生するのか分からず不安」と感じている方は多いはずです。相続に絡む不動産の売却では、相続登記や売却時の税金、さらには節税できる特例など、知っておきたいポイントがいくつもあります。この記事では、相続不動産の売却前に押さえておくべき基本的な税金の仕組みから、適用できる特例や税額を抑えるコツまで、わかりやすく丁寧に解説します。最後まで読むことで、安心して次の一歩を踏み出せるはずです。

相続した不動産を売る前に知っておきたい基本の税金の種類

相続した不動産を売却する際に最低限知っておきたい税金は、まず相続登記に必要な登録免許税です。固定資産税評価額に0.4%を乗じて算出されます。例えば評価額が2,000万円の場合、登録免許税は8万円です。ただし、土地の評価額が100万円以下の場合や、相続登記を済ませないまま相続人が亡くなったような数次相続の場合には、法務局への申請書に所定の条文を記載することで免税となることがあります(登録免許税が非課税となる期間は令和9年3月31日まで)。

次に、不動産売買契約書を作成する際には印紙税がかかります。印紙税は契約書に記載された金額に応じて段階的に税額が変わり、たとえば契約金額が4,000万円の場合、印紙税は1万円です。なお、令和9年3月31日までは印紙税の軽減措置も継続しており、契約書の金額に応じた軽減税率が適用されます。

そして、不動産売却後に課されるのは譲渡所得税および住民税です。計算方法は、売却価格(収入金額)から取得費・譲渡費用・各種特例による控除を差し引く仕組みです。取得費には相続税申告時に支払った登記費用や登録免許税も含まれます。建物の場合は、親が取得した時点からの経年による減価償却費を考慮した計算が必要です。取得費が不明なときは売却価格の5%を代用できるケースもあります。また、相続から売却まで概ね3年10ヶ月以内であれば「取得費加算の特例」により相続税相当額を取得費に加算できる制度も存在します。譲渡所得に対しては、所有期間が5年を超えれば長期譲渡所得(低い税率)、5年以内であれば短期譲渡所得(高い税率)が適用されます。

税目概要留意点
登録免許税固定資産評価額の0.4%軽減措置あり(100万円以下土地等)
印紙税契約金額に応じた定額令和9年3月末まで軽減措置あり
譲渡所得税・住民税売却益に課税(取得費控除後)取得費不明時の簡易計算や取得費加算特例あり

適用できる節税特例とその条件をわかりやすく解説


相続した不動産の売却に際して、かかる税金を軽減できる代表的な特例を、わかりやすくご紹介いたします。

まず、「空き家特例(被相続人居住用財産の3,000万円特別控除)」は、被相続人がお住まいになっていた住宅や敷地を相続後に売却する場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。ただし、相続があった年から3年を経過する年の12月31日までの売却が要件となっています。さらに、売却金額が1億円以下であることや、建物が現行の耐震基準に適合していることなど、細かな条件があります。なお、相続人が3人以上の場合は、控除額が2,000万円となることがあります。〈表1参照〉

次に「取得費加算の特例」は、相続税を支払った方が相続した不動産を相続開始から3年10か月以内に売却したとき、支払った相続税の一部を取得費に加算できる制度です。この結果、譲渡所得が減少し、譲渡所得税(所得税と住民税)を抑えられます。適用するためには、①相続により財産を取得していること、②相続税が課税されていること、③3年10か月以内に売却していること、の三つの条件を満たす必要があります 。

これら二つの特例は重複適用できないため、どちらが有利かを慎重に判断することが重要です。控除額の大きさや要件の違い、適用時期などを比較検討されることをおすすめいたします 。

以下に、特例の概要と適用要件を簡潔に整理した表をご用意いたしました。

特例名 概要 主な適用要件
空き家特例
(3,000万円特別控除)
譲渡所得から最高3,000万円控除(相続人3人以上は2,000万円) 被相続人の居住用、1億円以下、耐震基準適合、相続後3年目の12月31日まで売却
取得費加算の特例 支払った相続税の一部を取得費に加算して譲渡所得を減らす 相続税課税あり、相続開始から3年10か月以内に売却

売却を検討される際は、これらの特例条件をきちんと確認し、最適な節税策を選ばれることが大切です。税額を抑える上での判断につきまして、ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

税額を抑えるための計算手順とスケジュールのポイント

こちらでは、相続した不動産を売却する際に税金をできるだけ抑えるために知っておきたい、譲渡所得の計算ステップと申告から納付までのスケジュールについて詳しくご説明します。

ステップ内容備考
① 譲渡所得の計算譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除取得費未不明時は譲渡価格の5%で概算可
② 税率を確認所有期間によって短期(39.63%)か長期(20.315%)に分類「売却年の1月1日時点」で判定、相続では被相続人の取得日を引き継ぎます
③ 確定申告と納付売却の翌年2月16日~3月15日が申告納付期間特例適用の有無にかかわらず正確な申告が必要です

まず譲渡所得の計算は、「譲渡価額(売却価格)」から「取得費」「譲渡費用」、さらに適用できる特別控除を差し引く形で行います。取得費が不明の場合は、譲渡価額の5%を取得費として概算できます。例えば、譲渡価額3,000万円の土地で取得費・譲渡費用が不明でも、150万円(=3,000万円×5%)を取得費として計算可能です。実例では、譲渡価額3,000万円-取得費150万円-譲渡費用150万円=譲渡所得2,700万円として計算されています(長期譲渡の場合、税金は約548.5万円)。

次に税率ですが、所有期間が売却する年の1月1日時点で5年を超えると「長期譲渡所得税率(約20.315%)」が適用され、5年以下だと「短期譲渡所得税率(約39.63%)」が適用されます。相続した不動産は、被相続人の取得日からの所有期間を引き継ぎますので、取得日が古ければ長期譲渡として税率が有利になることが多いです。

最後に、確定申告・納付の流れですが、不動産売却によって譲渡所得が生じた場合や特例を使う場合は、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行い、税額を納付する必要があります。この期間を過ぎると延滞税などのペナルティが生じることがありますので、期限内に提出しましょう。

相続した不動産売却で失敗を避けるためのチェックポイント


相続した不動産を売却する際には、登記や書類の不備、特例の見落とし、資料不足などにより思わぬ税負担や手続きのトラブルに巻き込まれるおそれがあります。以下に、特に注意すべきポイントを整理しました。

チェック項目 注意すべきポイント 対策
登記や書類の不備 相続登記が未了だと売却できない・期限超過で過料の可能性 亡くなった人からの取得を知った日から3年以内に相続登記を完了する
特例の見落とし 空き家特例や取得費加算などの特例適用期限を過ぎると節税不可 特例の適用期限は相続開始から3年以内が多いため早めに売却準備を進める
売却前の資料整理 取得費が不明だと概算取得費(売却価格の5%)となり税負担が増 取得に関する契約書や通帳記録など、代替資料をできるだけ準備する

まず、相続登記(名義変更)は2024年4月1日から義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請しなければ10万円以下の過料が科されることがありますので、期限を守ることが欠かせません。未登記の状態では売却手続きも進まず、税負担以前の問題に直面しますので、速やかに書類準備と登記申請を進めましょう。<司法書士に依頼すれば、登記申請書の作成や必要書類の取得も代理で行ってもらえるため安心です>

次に、税制優遇の特例には適用期限があります。たとえば、「空き家特例(被相続人居住用財産の3,000万円控除)」や「取得費加算の特例」は、いずれも相続開始から3年以内の売却が適用条件となっていることが多いため、この期限を過ぎると大幅な節税効果を失ってしまいます。売却を考えている方は、できるだけ早めに売却活動を始め、特例の適用タイミングを逃さないようにしましょう。

そして、取得費が不明な場合は「売却価格の5%」を概算取得費として扱いますが、これでは譲渡所得が高く算出され、結果として税額も大きくなります。可能な限り、旧契約書類や通帳記録、パンフレットなど購入当時の資料を集め、正式な取得費として計上する努力が重要です。不明なまま5%を使うのは避けたいところです。

まとめ

相続した不動産を売却する際には、名義変更に伴う登録免許税や売買契約時の印紙税、売却後の譲渡所得税など多岐にわたる税金が関わります。さらに、空き家特例や取得費加算の特例など、利用できる場合は税負担を大きく抑えることも可能です。所有期間による税率の違いも重要なポイントであり、売却のタイミングや書類の整備によって納める税金が異なります。正しい知識と事前準備で、後悔のない不動産売却を実現しましょう。不明点や不安は、専門家に早めにご相談いただくことが安心への近道です。

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